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保健所仕事2ヶ月めッ。 そして「奇跡の犬フェイス」 [動物保健所]

え~、動物保健所で9月の半ばから働き始めてすでにもう2ヶ月経ちます。
ま、たった2ヶ月なのですが色々なことがありました。

10月からはインターンの獣医さんがきて、彼女は若いし色々と挑戦するので普段保健所では行わない特殊な治療も行いました。

一番すごかったのは車に轢かれた犬で右前足の神経に障害があり、かかりつけの獣医さんのところでは金銭的な面で完治させられなくて安楽死として連れてこられた犬のマギー。
骨折ならギブスとかで治療できるのですが、神経がやられているので切断しか治療法がないらしい。
結局引きずって歩くので傷になるし、そこから炎症、そして感染症になってしまいます。

人間の場合は義足や義手をつけられますが、犬猫の場合はほとんどの場合前足なら付け根の肩から、後ろ足なら骨盤の関節から取ってしまいます。
そしてさすがに傷口は大きいし、縫い糸、あるいはホッチキスの数はめちゃくちゃ多いです。
私の場合は最初に働いた動物病院に整形外科専門の獣医がいたので(すんごい嫌なやつだったけど・・・苦笑)前足や後ろ足の切断は何度も目にしたことがありましたし、現在正社員として働いている救急病院でもこの手術を行うことがあるので、一応大きな傷は見慣れていました。

人間の場合の片足や片腕切断だと普段の生活に慣れるまでにものすごい時間がかかりますよね。
それから精神的なショックも大きいものです。
ですが犬猫の場合、それが余り大きな障害ではないのです。
後ろ足がひとつしかないネコを引き取った一緒に働いている先生は、障害があってかわいそう、だと思い引き取ったのですが、そのネコがとんでもなく高いところへでも何の問題もなく飛び上がってしまうので、普通のネコと変わらない・・・と苦笑いです。
3本足の犬も同じです、慣れてしまえば走れます。

わたしが以前世話をしていたオポッサムのSeamusくんは、後ろ足両足と尻尾を喰いちぎられてそれを全て切断手術で完治させました。下半身が使えなかった分、上半身が発達して結構早いスピードで動き回っていました!動物の治癒能力ってすごいなぁ~と心から感動しました。

だから獣医さん達は切断して治療可能な病気や怪我にはどんどん推めています。
「切断」と聞いてショックが大きいのはオーナーさんたちのほうなんです。
そして手術後の大きな傷跡にもショックを受けます。
だから手術前に必要以上にオーナーさんに説明をして、ショックを少なくさせています。

マギーは多分グレイハウンドが濃い大きな雑種です。だからもちろん傷跡も半端じゃなく大きかったです。
手術も6時間かかったそうです。わたしは途中で夜の救急病院の仕事へ行かないといけなくて、最後まで立ち会えませんでした。

保健所では普段から余り大きな手術は行わないし、しかも整形外科専門でもないし、手術用器具も最新のものではありません。
友達で私のサーフィンの師匠の獣医のアンも同じ保健所で避妊手術オンリーで働いていますが、彼女も「え~~~???保健所で切断手術したのぉ~~~???OMG~~~(オー・マイ・ゴッド)!!!全て手術用器具がそろっていて、大手術の経験のある何人かのテックがいても大型犬に私は5時間かかったよ。整形外科専門のドクターM(救急病院のオーナーの一人)でさえ、3~4時間はかかるのに・・・グッジョブ!!!」ってびっくりしていました。
ただ切り落とすだけではなく、大きな血管やら動脈、そして神経などもあるので難しいそうです。

そんな悪条件のなかでの手術も成功し、そしてなんと貰い手まで見つかったマギー。
インターンの先生の喜びはとても言葉で表せません。

マギーの手術から2週間経ったある日、外にあるフェンスで囲われた運動場へマギーをリハビリのために連れ出しました。最初はリードをつけていたのですが、走る、走るマギー・・・リードをはずしてあげたら自分から落ちているボールを拾ってわたしのほうへ持ってきました。
さすがに大きな傷跡があるので3本足のマギーに注目するお客さんたちがフェンスの外に何人か見学しています。子供も喜びながらマギーが走り回るのを見学していました。
反対側にいるお客さんたちはマギーの足が一本足りないことにも気がつかないほど「普通」のマギーでした。
ベンチに座っているわたしの上にジャンプして座ろうとするし・・・
「ちょっとアンタでかいんだからダメッ!」って言っても何度も飛び上がろうとする無邪気なマギー。
さすがに急激な運動はよくないので(っていうかこんな大きなマギーが疲れて倒れたら絶対に一人では運べないし・・・汗)10分以内に病院へもどりました。

マギーは2週間前に引き取られていきました。
インターンの先生は先週で保健所でのお勉強が終わりました。
次はなんと手術専門のクリニックだそうです。
マギーの大成功な手術とその後のハッピーエンディングは彼女にとってとても大きな自信につながったと思います。

今回のことでもっと保健所での仕事が大好きになったシェイマスくんでした!!!

そしてマギーのことでこの犬のことを思い浮かべました・・・
日本ではたけしさんのアンビリーバボーで紹介された「奇跡の犬フェイス」です。








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カリフォルニアの郡動物保健所にて・・・ [動物保健所]

先週の13日月曜日から郡の動物保健所の動物病院で臨時パートのお仕事をはじめました。
この保健所には以前に何度か私の働いている病院の3人の院長先生の一人のB院長が、貰い手の決まった犬と猫の避妊手術をしているのでお手伝いに行ったことがあります。
現在は私のお友達の獣医のアンが行っています。
そしてアンがそこのお偉いさんに誰かカリフォルニア州動物看護師資格を持った人を知らない?と聞かれてわたしを推薦してくれたのです。(ちなみにお偉いさん方って女性ばっかり!!!)

でもやはり「郡」のお仕事なので、書類手続きやらなんと犯罪歴まで調べられて実際に働き始めるまでに何週間もかかりました。

「動物保健所」と聞いて一番怖かったのが「多数の安楽死」です。自分がやらされるのかな?でも保健所なんだから仕方がないよな。誰かがやらなくてはいけないんだから・・・と思い込んでいましたが、「多数の安楽死」は夜中シフトの人がまとめて行うそうです。

実際に働き始めてみると今までの「動物保健所」への価値観が100%変わりました!
まずメインのオフィスなのですが、ディレクターは女性で毎日彼女の犬をオフィスへ連れてきます。
そして何匹かの飼い猫がそのビルの中をうろうろしているのです!もちろんドアがあるので市民のみなさんが入る正面玄関へはその猫たちは行けません。
私が書類手続きをしている間も、ネコが寄ってきてわたしのかばんを触ったり、わたしのズボンの匂いをかいだりと、とても微笑ましい始まりかたでした。

そして動物病院のビルへ案内されていくと、そこにも3匹の飼い猫がうろうろしていました。
動物病院の中は処置室が一番大きくて、その隣にICU(集中治療室)、そしてレントゲン室、隔離室、ネコの部屋と犬の部屋とに分かれています。
ICUと処置室の壁はガラスになっていて、処置室からICUの患者たちをいつでも見れるようになってるし、両開きのドアがあってすぐにICUに入ることができます。

ICUで良くなると、隔離室かネコ、犬の部屋へ移されます。そこからまたよくなって初めて表(病院の外)へ移されるのです。

保健所では一般の動物病院と違って飼い主さんのOKが出なくても、郡獣医のK先生がレントゲンやら処置やらを必要に応じて指示をします。これがとてもストレスが無くて良いのです。飼い主さんのなかには、予算が足りなくてそれ以上の処置ができなかったり、反対になんでそんなに費用が高いんだ!と緊急のシフトではこういうやりとりは頻繁にあって色々時間がかかるのです・・・

それから一番驚いたことは、病気なので安楽死にしてほしいと連れてこられた動物でも「医療的に治療可能なら」安楽死させないで治療するんです!!!これには本当にびっくりして、感動してしまいました!!!
30日でも60日でも治療&観察を続けるんです!!!

昨日もうひとつハッピーなことを知りました。法律的には4日経っても貰い手の決まらなかった健康な動物は安楽死なのですが、この保健所ではスペースのある限り動物を置いています。犬と猫で300匹ほどのスペースがあります。

一番多いのが野良の子猫たち。1キロ未満だと自動的に安楽死なのですが、新しい条例ができて全ての郡職員は(シェリフや消防士やらオフィスや図書館勤務の人達)その1キロ未満の子猫たちを自宅に連れて行って、1キロ以上になったら保健所に戻す、というのもの!!!
これにもびっくり!!!
もちろんものすごく凶暴だとか、治療できないほど病気な動物たちは「ナイト・ナイト」、安楽死という言葉を使わずに子供が夜ベッドに行くときに「グッド・ナイト」のかわりに「ナイト・ナイト」と言うので、安楽死にするときには「この子はナイト・ナイトだね。」と言っています。

それからたくさんのレスキューのグループが毎日のように訪れて、動物を引き取っています。
Holisticの病院で知り合ったジョイもそのうちの一人です。昨日は彼女とご主人が保健所に来ていました。

これから保健所での色々な出来事も緊急病院と同様に書いていきたいと思います。


シェイマス




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